目次
1. 財務会計とは
財務(ファイナンス)と会計(アカウンティング)
財務=ファイナンス(finance)※資金管理などを意味する
会計=アカウンティング(accounting)※経営成績などを意味する
ファイナンスは資金調達やリスク管理などを指します。
語源であるアカウントには「報告する」という意味もあり、経営状況を記録・管理し、それらをステークホルダーに報告・共有する役割を持ちます。
1-2. 会計(アカウンティング)とは
今回はアカウンティング(会計)について解説します。
会計には大きく分けて以下の2種類があります。
- 制度会計(財務会計)
- 管理会計
制度会計は法令や会計基準などによって作成ルールが定められた、外部関係者や税務申告などに必要な会計です。
一方、管理会計は内部関係者向けで、経営者や管理者が経営管理や意思決定のために使う報告用資料です。
どちらの場合も基本的には財務諸表が使われます。
「諸」とは複数を意味し、貸借対照表(BS)、損益計算書(PL)、キャッシュフロー計算書(CF)の3つをまとめて財務三表と呼びます。
① 貸借対照表とは?
概要
貸借対照表はB/S(ビーエス)と呼ばれ、Balance Sheetの略です。
Balance(バランス)とは釣り合いを意味し、企業の財政状態を左右の構造で示します。
左(借方 / Assets) | 右(貸方 / Liabilities + Equity) --------------------------------------------------------- 資産(現金、建物、在庫など) | 負債(借金など)+純資産(元手・利益)
このバランスは次の基本公式で成り立っています。
資産 = 負債 + 純資産
出納帳との違い
- 出納帳:お金の出入りの記録(現金や預金の流れ)
- 貸借対照表:ある時点での財産の状態(資産・負債・純資産の構成)
つまり、貸借対照表(B/S)は「財布の中身がいくらで、何に使われていて、どこからお金が入ってきたか」を一枚の記録で見るものです。
出納帳はその中でお金が出たり入ったりする動きを表しています。
② 損益計算書とは?
概要
損益計算書はP/L(ピーエル)と呼ばれ、Profit and Loss Statementの略です。
Profitは「利益」、Lossは「損失」、Statementは「報告書」や「明細書」を意味します。
---------------- 損益計算書(一部抜粋) ---------------- 売上高 -売上原価 =売上総利益(粗利) -販売費および一般管理費 =営業利益 ±営業外収益・費用 =経常利益 ±特別損益・税金 =当期純利益 ---------------------------------------------------------
一定期間にどれだけ稼いで、どれだけ使って、最終的にいくら残ったかを示す表です。
企業の稼ぐ力や経営成果を可視化します。
損益計算書(P/L)は“お金の動きのストーリー”を一枚で見るものです。
貸借対照表が「今の財布の中身」という静止画なら、損益計算書はその動きを描いた動画のような存在です。
③ キャッシュフロー計算書とは?
概要
キャッシュフロー計算書はC/F(シーエフ)と呼ばれ、Cash Flow Statementの略です。
Cash=現金、Flow=流れ、Statement=報告書という意味です。
構成例
----------------- キャッシュフロー計算書 ----------------- 1. 営業活動によるキャッシュ・フロー 税引前当期純利益 ¥10,000,000 減価償却費 ¥3,000,000 売上債権の増減 −¥2,000,000 仕入債務の増減 ¥1,500,000 その他調整項目 ¥500,000 法人税等の支払 −¥1,800,000 営業CF = ¥11,200,000 2. 投資活動によるキャッシュ・フロー 有形固定資産の取得 −¥5,000,000 投資有価証券の売却 ¥2,000,000 投資CF = −¥3,000,000 3. 財務活動によるキャッシュ・フロー 短期借入金の増加 ¥3,000,000 長期借入金の返済 −¥2,000,000 配当金の支払 −¥1,000,000 財務CF = ¥0 4. 現金及び現金同等物の増減額 営業CF ¥11,200,000 投資CF −¥3,000,000 財務CF ¥0 現金増減額= ¥8,200,000 期首現金残高= ¥5,000,000 期末現金残高= ¥13,200,000 -----------------------------------------------------------
特徴
損益計算書が「利益」を扱うのに対し、キャッシュフロー計算書は実際に動いた現金のみを追います。
現金がどこから入り、どこへ出ていったかを「営業・投資・財務」の3つの活動に分けて明らかにします。
また、似た略語であるCFO(Chief Financial Officer/最高財務責任者)は、Cash Flowから取ったものではありません。
CFOは会社全体の資金繰り・投資判断などを統括し、企業のお金の健康状態を管理する役職です。
今回は財務会計のうち「会計(アカウンティング)」の概要と財務三表について解説しました。
次回は「財務(ファイナンス)」について解説します。
このブログでは、公務員→民間企業→フリーランス→マイクロ法人CEOという経歴を持つ筆者が、過去の自分に向けて独立・起業に必要な知識を発信しています。
YouTubeや独自アプリ「タコスビジネス」でも詳しく学べます。
2. 財務(ファイナンス)とは
ファイナンスを見ていきましょう。
「会計(アカウンティング)」よりも聞き慣れた言葉かもしれません。
ファイナンスを直訳すると「財務」「財政」「金融」。それぞれ次のように使い分けます。
- 財務:企業の中でお金をどう管理するか(ミクロ)
- 財政:国や自治体がどう税金を使うか(マクロ・公共)
- 金融:お金を社会全体でどう回すか(市場)
企業に関わるファイナンスの意味は「財務」、公務員系では「財政」と使い分けられます。
企業財務(コーポレートファイナンス)は、資金調達・配分・リスク管理などを含む重要な分野です。
3. 貸借対照表の借方と貸方とは
借方(左側)
企業が元手を使って必要なものを揃える部分を示します。
→ 資産
貸借対照表では「借方」は左側に配置されます。
※「かり」の“り”が左向きに払ってあるので左、と覚えると便利です。
貸方(右側)
事業が他人から借りた資金や、自分で用意した元手(自己資本)を示します。
→ 負債・純資産
株式会社の場合、自分や株主によって用意した元手を「資本金」と呼びます。
貸借対照表では「貸方」は右側に配置されます。
※「かし」の“し”が右向きに払ってあるので右、と覚えると良いでしょう。








