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公務員は副業禁止なの? 公務員でも出来るものがあるか調べてみたよ!【○○はOK】

公務員というと、副業禁止されているという認識が一般的かと思います。

でも実は「公務以外では絶対にお金を稼いじゃダメ」というわけではありません。

 

きちんとルールを守れば副業が認められる場合もあるのです。

今回は、公務員が副業を行うことが出来るケースについて紹介しております。

 

目次

一部副業が解禁された国家公務員

平成31年3月付で出された『「職員の兼業の許可について」に定める許可基準に関する事項について(通知)』において、「昭和41年通知」に定める「第3 許可基準に関する事項」が明確化され

営利企業での役員兼業と自営を除いて、兼業が認められました。

 

ちなみに、国家公務員の副業に関しては以下のように規定されています。

 

国家公務員法第103条(私企業からの隔離)

職員は、営利を目的とする私企業(以下「営利企業」という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員等の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。 国家公務員法第104条(他の事業または事務の関与制限)

職員が報酬を得て、営利企業の役員等との兼業以外の兼業を行う場合には、内閣総理大臣及び所轄庁の長の許可を要する

国家公務員法第104条(他の事業または事務の関与制限)

職員が報酬を得て、営利企業の役員等との兼業以外の兼業を行う場合には、内閣総理大臣及び所轄庁の長の許可を要する

 

国家公務員の兼業に関する許可基準

職務の公正な執行の確保及び公務の信用の確保、公務の信用の確保、職務専念義務の確保の観点から以下のような場合に兼業が可能です。

 

1.兼業先及び兼業する事業・事務について

1.在職する機関と兼業先に利害関係がないこと
2.非営利団体の目的が公務の信用を傷つけるおそれがないこと
3.非営利団体として活動実績があること
4.非営利団体やその役員が刑事事件で起訴されている、もしくは業務停止命令等の不利益処分を受けていないこと(過去2年)

2.報酬額について

1.社会通念条相当と認められる程度を超えない額
2.講演等は利害関係者からの依頼に応じて行う講習会等の報酬基準があるため、それを超えないこと

3.兼業に従事できる時間について

1.勤務時間と兼業時間が重複しないこと
2.原則として、週8時間以下・1ヶ月30時間以下・平日(勤務日)3時間以下であること

国家公務員の副業について(概要)内閣官房内閣人事局  より

 

 

地方公務員も副業解禁の流れ

実は、地方公務員も副業推進の動きが出てきています。

 

令和2年1月10日に総務省から各自治体に出された「営利企業への従事等に係る任命権者の許可等に関する調査 (勤務条件等に関する附帯調査)」の結果等について(通知)」では、副業のわかりやすい許可基準を定めることを求めている。

正確に言うと、解禁というよりは基準を明確化して取り組みやすくするという感じです。

地方公務員が地域社会の支えとして、公務以外でも活躍することを期待していると見られ、地方の深刻な人手不足による悪影響の払拭を目指すという意図もあるでしょう。

 

地方公務員法における副業の規定

ちなみに勘違いしがちだが、地方公務員の副業は

「禁止」ではなく「制限」

という表現が正しく、自治体の許可を得ることが出来れば取り組むことができるとされます。

 

ちなみに、地方公務員法においては以下のように規定されています。

 

職員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下この項及び次条第一項において「営利企業」という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。

地方公務員法第三十八条 (営利企業への従事等の制限)

  

任命権者の許可を得ないと従事できない行為3つ

1.営利企業において役員を兼ねること

>>農業協同組合、水産協同組合などは農業協同組合法・水産協同組合法などの特別法で非営利法人とされているので「営利企業」には該当しないが、報酬が発生する場合は許可が必要。

2.みずから営利企業を営むこと

>>ちなみに、農業も立派な営利活動。

3.報酬を得て何らかの事業もしくは事務に従事すること

>>講演料や原稿料を得て講演・執筆活動を行う行為や、職員が寺院などの住職を兼ねて法要等で受け取るお布施は「労働の対価」としての報酬ではないとされているため、任命権者の許可はいらないとされる。

 

地方公務員の副業が許可される基準とは

2018年4月1日時点で、営利企業等への従事に関わる許可基準を定めている団体は1788 団体中703団体(39%)となっており、まだ整備は進んでいませんでした。

 

しかし、2019年には北海道の鹿部町において条件つき副業解禁が行われるなど、今後は副業解禁のための許可基準を設ける自治体が増えていく傾向にあります。

今後の整備を待ちましょう。

 

ちなみに、国家公務員の場合は以下のケースに該当すると「原則として許可されない」そうですので、およそ地方公務員も準拠するのではないでしょうか。

 

(1)兼業のため勤務時間をさくことにより、職務の遂行に支障が生ずると認められるとき。

(2)兼業による心身の著しい疲労のため、職務遂行上その能率に悪影響を与えると認められるとき。

(3)兼業しようとする職員が在職する国の機関と兼業先との間に、免許、認可、許可、検査、税の賦課、補助金の交付、工事の請負、物品の購入等の特殊な関係があるとき。

(4)兼業する事業の経営上の責任者となるとき。

(5)兼業することが、国家公務員としての信用を傷つけ、または官職全体の不名誉となるおそれがあると認められるとき。

職員の兼業の許可について(昭和41年2月11日付け総人局第97号)より

↑以上に該当する場合は、許可されない

 

簡単にいうと、

①職務の遂行に支障をきたすことが考えられる

②所属する団体と利害関係にある

③公務員に対する信用を傷つける恐れがある

場合は、許可されないようです。

 

「公務員は副業をしちゃダメ」という一般認識がある以上、公益性がある副業以外は信用を傷つける可能性があるので、許可されることは難しいでしょう。

 

公務員でも出来る副業

以上の話を踏まえると、公務員でも取り組むことができる副業は以下のようなものになります。

 

社会貢献活動

公益性が高く、関係団体と利害関係にならない場合は許可を得やすいです。

総務省では、以下のような活動を社会貢献活動と想定しています。

・伝統行事や地域イベントの振興に関する活動
・地域ブランドや地場産品のプロモーション活動
・地域の防災、防犯に関する活動
・スポーツや文化芸術活動の指導・支援
・教育や若者自立支援に関する活動
・住民の生活支援や福祉に関する活動
・環境の保全や監視に関する活動
・移住者受入れや定住促進に関する活動    など

 

講演活動

講演などは、公共性が認められてかつ守秘義務等を侵さないものであれば謝礼としてお金をいただくことが出来ます。

地方公務員法第三十八条で言うところの「報酬」では無いので許可はいらないのでは、という意見もあるようですが、自治体の人事当局によって判断は異なりますので確認はした方が良いです。

 

ちなみに、国家公務員の場合は利害関係者からの講演依頼に関する規定がありますので、依頼主が利害関係者であっても絶対禁止というわけでも無いようです。

 

国家公務員倫理法・倫理規程との関係では、利害関係者からの依頼により講演等をしようとする場合には、あらかじめ 倫理監督官の承認が必要であり、また、本省課長補佐級以上の職員が5千円を超える報酬を得る場合には贈与等報告書を提出する必要がありますので、御留意ください。

『国家公務員の兼業について (概要)』(内閣官房内閣人事局) より

 

執筆活動

日本国憲法第21条によって表現の自由が保障されていますので、小説などの執筆活動も許可されるケースが多いです。

ただし「本業が疎かにならず、公務員の信用もしくは守秘義務違反にならない」という前提がありますので、勤務時間中に書くこともダメですし、実在する誰かを攻撃したりと公序良俗に反する内容では許可が下りない可能性もあります。

ちなみに、公務員で執筆活動を行なっていた例は以下のとおりです。

 

石原慎太郎さん:元東京都知事
『太陽の季節』で芥川賞を受賞

俵万智さん:公立高校教師
『八月の朝』で第32回角川短歌賞を受賞

童門冬二さん:元東京都庁職員
歴史小説家。代表作に『上杉鷹山』など

三崎亜記:元福岡市職員
『となり町戦争』で小説すばる新人賞受賞。『失われた町』刊行後退職し専業作家に

 

不動産投資

不動産投資と公務員は相性が良いと言われています。(社会的信用の高さから)

ただし、不動産投資を行うには以下のように制限が設けられており、取り組む際は注意が必要です。

 

①一戸建て4棟以内、マンション・アパートなら9室以内であること

②年間の家賃収入が500万円未満であること

③管理会社に管理委託をすること

『人事院規則14-8 (営利企業の役員等との兼業)の運用について』より

 

株式・FX

株式・FXは資産運用という位置付けのため、公務員でも許可なく取り組むことが可能です。

ただし、株やFXでの利益が年間20万円を超えてしまうと確定申告の必要が出てきますのでご注意を。

 

FXをやる場合、常時為替変動を見極める必要があるデイトレード(1日で取引を完結させる)は本業に支障をきたす可能性があるので、やるならスイングトレード(数日から一週間で取引を完結させる)が基本になるでしょう。

 

上記以外をバレないようにやることは出来る!?

あるけどやっちゃダメ

方法はあるようですが、やらないほうが良いです。

 

基本的には公務員は「全体の奉仕者」であるため、私人の利益追求をしてしまうと中立性を保てなくなるからです。

もし許可を得ずに副業していることがバレた場合、懲戒処分を受けることはもちろん、個人も社会的な信用を失いますのでその後の生活に苦労することが予想されます。絶対にやめましょう

 

 

副業がバレて処分された事例3選

事例①:仙台市職員が年間約600万円の不動産収入を得て減給処分

仙台市の40代男性職員が2008年に市内のアパート3棟を購入。2016年には母親を代表者に据えて不動産会社を設立したが、自身で営んでいたおよそ8年間の間に年間600〜700万円の家賃収入を得ていたことから、減給10分の1(3ヶ月)の懲戒処分を受けた。

バレた理由:所属長との会話でうっかり話した

事例②:宝塚市消防士が農産物を販売する団体や水道工事会社を経営して懲戒免職

宝塚市の40代消防司令が、副業で農産物を販売する団体や水道工事会社を経営したこと・既婚であることを隠して女性と交際し訴訟沙汰になったことなどにより懲戒免職の処分を受けました。
その後、処分を受けた職員が「免職は重すぎる」などとして訴訟を起こし、免職が取り消され懲戒停職にとなりました。

バレた理由:女性問題により、連鎖的に発覚(詳細不明)

事例③:甲府市職員が新聞配達のアルバイトをして減給処分

甲府市の50代課長補佐の男性が、朝の時間帯に新聞配達をして年間60〜100万円を得ていたことがバレて減給10分の1(6ヶ月)の懲戒処分を受けた。驚くべきことに約20年もの間続けていたという。

バレた理由:税務署から所得の修正を求められたため、やむなく自ら職場に報告し発覚

 

 

まとめ

公務員は副業に関して制限があるが、完全禁止ではありません。

とはいえ、やっていい事と悪い事に関してルールがありますので、きちんとルールを学んでから取り組みましょう。

 

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