
日本消防というと
世界一の装備と技術を有する
などと書かれているものを見たことがありますが、本当でしょうか
確かに、先進的な部分もあるのですが、そうではない部分もたくさんあります。
国や地域によって制度、住宅構造、などなど異なる部分もあるので
明確にどっちが進んでいる、遅れていると言えない部分も多いのですが
今から紹介する日本と欧米の違いをご覧いただき、どっちの方が良いのだろうかと
少しでも疑問に思うことがあれば読者の方々が自ら調べて判断していただければと思います。
今回は、
人命検索時の姿勢
についてです。
目次
日本における人命検索
日本の消防では、濃煙熱気環境下での人命検索時にダックウォーク(膝を地面につけないようにしゃがみ歩き)をするよう教えられることが多いかと思います。
※ダックウォークをしないと怒られたりする
このような姿勢をとる根拠としてよく教えられるのが、
・火災現場では何が落ちているか分からないから、膝を怪我しないように
・熱された水が床に溜まっていると、膝が火傷してしまう可能性があるから
・床が抜け落ちることもあるので、そうなった時に身動きが取れなくならないように
みたいなものがあります。(他にもあれば教えてください笑)
ただ、このダックウォーク、欠点があります。それは…
・姿勢が高くなりやすい
・膝をつく時より体力消耗が大きい
ということ。
姿勢が高くなるとなぜダメか
「姿勢は出来るだけ低く」
皆さんも学校の避難訓練などで言われたことがあると思います。
なぜ姿勢を低くと口酸っぱく言われるのか
ご存知だとは思いますが、
上に行くほど温度が上昇するが、低い位置では比較的温度が低くなるため人が活動できるのです。
また、皆さんがご存知の通り
煙は上へ行くので、低いところは比較的視界が取りやすいというのも理由です。
あれ?
なのに日本では姿勢が高くなるダックウォークをしている…
膝をつかない時より体力消耗が大きい
空気呼吸器の残量には限りがあります。
なので、余分な体力は使わないことが屋内検索時の注意点です。
進入前から無駄に声を張り上げて騒いだり、走り回って呼吸数を増加させれば、それだけ酸素の消費量が増えてしまいます。
少しでも体力を温存するために、無駄な動きは避けるべきです。
やってみると分かりますが
・膝をつかないでしゃがみ歩きする
・膝をついてしゃがみ歩きする
では前者の方が疲れます。
欧米において、火災現場で消防士が殉職する原因として多いのが、エアアウト(空気ボンベの残量切れ)です。
なので、あちらでは日本のように無駄に騒いだり、走り回ったりしません。
ものすごく冷静で、落ち着いた行動をします。
少しでも心拍数の増加を抑え、酸素の消費(体力の消費)を減らすためでもあります。
膝を怪我しないようにと言いますが、
しゃがんで両手で探り探り進めばそうそう膝を怪我することはありません
また、床が抜け落ちた時どうのこうの言ってますが、床が抜け落ちるほど火が回った家に人命検索のため入るということはほぼあり得ません
まあ、ボロい家屋だったら分からないこともありませんが
見ての通り、欧米や他のアジア諸国では以下の動画のように、膝をついた姿勢で人命検索を行います。
日本においてダックウォークが推奨されている理由も理解できなくはありません。
確かに、放水しながらの進入であれば考慮しても良いかもしれませんね。
ただ、人命検索に入るということは、中に要救助者がいる(可能性)があるということです。
そのような状況では先に「放水」をしてはいけません。
理由については、ぜひ調べてみてください。
現代における住宅構造の特性やそれに伴う火災性状の変化についても学んでみると、どちらが良いのかは一目瞭然かと思います。ぜひ勉強して見てください。